安倍官房長官は9日の会見で、短波放送「しおかぜ」(
関連サイト)に対する妨害を批判しました(
TBS、
産経、
毎日、
朝日、
読売、
日経)。
ITU無線通信規則(RR)
第15条第VI節では、有害な混信に対しては送信局を管轄する主管庁が主体となって解決を図ることになっています(RR15.32、15.34、15.39)。つまり、RRに基づきA国がB国に向けて放送しているとき、B国が自国民に聴かせたくないからといって妨害電波を出すのは国際的に違法で(民間が妨害電波を出すことを容認するのも同じ)、A国はB国に対し妨害をやめる(民間にやめさせる)よう求めたり、それでも解決しなければ国際社会(ITU)に解決を求めることができます。
「しおかぜ」の送信局を管轄しているのは日本ではなく、官房長官はRRとは無関係に拉致被害者の観点で批判したのでしょうが、外国からの日本向け短波放送がPLCにより有害な混信を受けた場合、「在日○国人に母国の情報が届かなくなる」とか、「××教を日本に普及させることへの妨害だ」とかの理由で、送信国からRRに基づき抗議を受ける可能性は十分ありますね。
《2006-5-13追記》
毎日は
続報しました。
PLC研究会でも,RR15.32,RR15.34の件(外国からの放送に障害を与えた場合は,RRに基づいて障害を解決する)が指摘されていました。でも座長以下には何のことか分からなかったのかもしれません。もしかしたら電波環境課も理解していないかもしれません。